発電時に発生する二酸化炭素の農業利用について
1 管理人 2023-08-09 16:29
CO2(二酸化炭素)濃度の増大というと、その悪影響ばかりがクローズアップされることが多いが、良い影響もある。CO2は植物の生長にとって必須の原料であるため、その濃度が上昇すると光合成速度が増加し、植物の生育が進む。この「CO2施肥(施用)効果」を農作物の栽培に取り入れる技術はすでに確立しており、農業を中心とした産学官の連携が進めば、大規模な産業になりうる。また、CO2濃度が上昇している自然環境では、世界各地の農場の生産の生産性と植物被覆の面積が既に増加しているともいわれている。これらのCO2の濃度上昇による便益を最大限追求するためには、CO2削減に特化した要素技術の開発ではなく、農作物を中心としたIT・エネルギー・プラント関係などの既往の幅広い技術の統合が必要である。
CCUとCO2施肥効果
最近、火力発電所等から排ガス中のCO2を分離・回収し、有効利用または地下へ貯留する技術(CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)が注目を集めている。中でも、石油代替燃料や化学原料などの有価物を生産する資源化するCO2の有効利用技術(CCU:Carbon Capture and Utilization: CCU)は、CO2の貯留技術(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)に比べてCO2の処理能力は劣るものの、有価物の製造につながる点で経済的効率が高いと期待されている(図1a)。このような背景から、藻類由来のバイオ燃料や人口光合成、環境配慮型コンクリートなどの様々なCCU技術の開発が進められているが、すぐに大規模に普及できる技術はまだ少ない。そのような中、わが国の農業生産額の4割を占める園芸産業の一分野である施設園芸ではCO2施肥効果の技術がよく知られており、CCUの市場としても有望である(図1b)。
https://cigs.canon/article/20201209_5523.html
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101 管理人 2023-08-09 16:31
進むCO2の農業利用 温暖化の「悪玉」を有用資源に
発電機の稼働で生まれる電気のほか、排熱も利用する「コージェネレーション(熱電併給)システム」が、エネルギーの利用効率が高い省エネ技術として広まりつつある。
加えて、排気に含まれる二酸化炭素(CO2)をも有効に使う「トリジェネレーションシステム」と呼ばれる仕組みも注目され始めた。トリジェネレーションには、CO2を作物の生育増進に利用する「農業トリジェネレーション」と、アルカリ廃液の中和に利用するなど、工業的に使う「工業トリジェネレーション」がある。世界的に利用が広がっているのが農業利用だ。
総合熱効率は90%超
米カリフォルニア州キャマリロにあるHouweling's Tomatoesは、125エーカー(約0.5平方キロメートル)もの温室で年間数百万個のトマトを生産している(図1)。同社は、非遺伝子組み換え作物に限定しているほか、地球環境の視点からも、持続可能な農業に取り組んでいることで知られている。5エーカー(約2万平方メートル)に太陽光パネルを敷き詰め、雨水タンクの水を循環利用するなど環境負荷を低減している。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1301Y_T10C13A2000000/