各国の外資誘致戦略について

各国の外資誘致戦略について


1 管理人 2023-08-11 16:10

アイルランドの外資誘致政策について

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101 管理人 2023-08-11 16:12

3.アイルランド:外資主導の高い成長と生産性の向上
   アイルランドは、80年代までは、ヨーロッパの病人とも言われ、西ヨーロッパ諸国の中では生活水準が最も低い国の一つであり、70年代、80年代は、インフレと高い失業、大幅な財政赤字と経済財政政策上の困難に直面し続けてきた(第2-2-12図)。しかし、90年代半ば以降は非常に高い成長(特に、95年から2000年の6年間の平均では9.7%)を遂げ、近年では「ケルトの虎」とも呼ばれている。豊かさの指標としての一人当たりGDPでみても(前掲第2-1-2図)、90年には、アメリカの56.0%(西ヨーロッパ(同図の西ヨーロッパ11か国)の76.9%)に過ぎなかったが、05年にはアメリカの93.4%(西ヨーロッパの128.8%)に達した。また、時間当たりの労働生産性では、近年はアメリカの水準を上回って推移している。
●外資に魅力的な投資環境
   このようにアイルランドの経済成長、生産性の上昇率は、先進国の中でも際立っており、「アイルランドの奇跡」とも呼ばれている。その要因は多数挙げられてきているが、こうしたアイルランドの高成長・生産性上昇の大きな原動力となったのは、欧州統合の波に乗り、外国資本による直接投資、特にアメリカ系企業のヨーロッパ向けIT生産拠点としてアイルランドへの投資が活発化したことである。この背景としては、欧州統合の深化等の外的条件に加え、アイルランド政府が企業活動の自由度の拡大等により、外資が進出しやすい環境を積極的に整備してきたことが重要である(第2-2-13表)。まず、73年のEU参加とその後の欧州統合の深化は、アメリカ等の外資にとっては、(当時は)ヨーロッパの中では相対的に低賃金でかつ英語圏に属するアイルランドのヨーロッパへの供給拠点としての魅力を大きく増大させるものであった。また、通信事業等で規制緩和が進み、生産物市場の規制が相対的に緩く、労働市場も柔軟なものとなっていったことも、外資系企業の自由で機動的な企業活動を保証するものであり、大きな効果があったと考えられる(前掲第2-1-7図)の生産物市場の規制や労働市場の柔軟性指標も参照)。
   また、出生率が高く、移民の流入も多いため、ヨーロッパで最も人口構成の若い国であり、労働供給が潤沢であったことは、87年に締結された政労使のソーシャルパートナーシップの締結等により賃金の過度な上昇を抑制してきたこととあいまって、外資にとって進出しやすい条件となっていたと考えられる。労働供給の面では、経済成長に伴い人材育成にも配慮され教育水準も向上し、大学等で電子工学や経営等を重視(38)してきたことも外資にとって魅力的であったといわれている。外資に対する10%の優遇法人税率(39)も、外資が進出しやすい環境整備の面では効果があったとされている。そのほか、社会協約と同じ87年に開始された医療支出等の歳出削減中心の財政赤字削減も、投資環境に好ましい影響を与えた面があったとされており、物価変動を見ても2回の石油危機により70年代には物価が高騰したものの80年代後半以降は、振れはあるものの安定的に推移してきた。69年に設立された産業開発庁(IDA)による包括的な外資導入のための情報提供や補助金交付の支援も効果があったとの指摘もある。
●外資主導・製造業中心の経済成長・生産性上昇
   こうした外資導入に有利な環境を反映して、同国における外資の存在は非常に大きい。対内直接投資残高のGDP比をみると(第2-2-14図)、アイルランドでは140%近くに及んでいる。国の規模が小さいほど対内投資のGDP比は高くなる傾向が弱いながらもみられるが、アイルランドにおける外資の存在は、国の大きさを考慮しても非常に大きいことが分かる。一方、日本では、国の規模が大きいことを考慮しても対内直接投資が少ないことが分かる。
   雇用や売上の面でも外資のシェアは非常に高く、製造業の雇用の半分近く、売上の8割以上が外資によるものである(第2-2-15図)。また、外資系企業の生産性は製造業では国内企業の4倍以上に達し、アイルランドのリーディング産業である、ソフトウェア、医薬品、コンピュータ、電子機器では外資系企業の生産高がほぼ100%に近く、これらの産業の雇用はアイルランドの雇用の5%以下であるにもかかわらず粗付加価値の3分の1近くを産み出している(40)
   ただし、この点は、裏を返せば一部の外資系企業と比較して国内企業の生産性が低いということでもあり、留意が必要である。また、対内直接投資の収益の相当部分が投資元の国へ還流しているため、アイルランドの国民総生産(GNP)は国内総生産(GDP)より15.7%小さなものとなっており(05年)、国民の豊かさとして一人当たりのGNPを取ればGDPでみた場合よりそれだけ小さなものとなることには留意すべきであろう。また、フィンランドと同様に、製造業中心の生産性上昇であったため(第2-2-16図)、非製造業の生産性向上が課題となっている。アイルランドのサービス業の生産性は、03年でEU平均の87.7%にとどまっており、サービス業の生産性向上が必要との指摘もされている(41)

https://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sh07-01/sh07-01-02-02-03.html
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2 管理人 2023-08-11 16:23

シンガポールの外資誘致政策について

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201 管理人 2023-08-11 16:25

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3 管理人 2023-08-11 16:31

グーグルがダブル・アイリッシュを使っている典型例だといえます。私はアイルランドの財務大臣に、どのくらいの企業がダブル・アイリッシュを使っているのか尋ねたことがありますが、答えは「分からない」でした。私の調査では22の企業が使っていると特定できました。ほかの企業も使っていると思いますが、いま調べることができる情報では、すべて証明するのは難しいところがあります。

多国籍企業はそれぞれ、独自の租税戦略を持っています。インテルは、アイルランドに子会社としての工場を持ち、ケイマンに持ち株会社を置いています。IBMはオランダを使った租税戦略を採用しています。

租税戦略がここまで過剰に展開される背景には、外国企業を誘致するために法人税を引き下げている国同士の競争があります。「底辺への競争」と形容されるものです。例えば、アイルランドが法人税を下げて外国企業を引きつければ、英や仏も引き下げ競争に加わって、さらに激しい競争が起きるのです。

問題は、この競争から利益を得るのは、国境を越えて動くことがきる企業だけだということです。多国籍企業は、ある国の税制が気に入らないなら、政治力を駆使すれば制度を変えることだってできる。でも小さな企業にはそれができません。これは、小さな企業にとって、とても不利です。
https://globe.asahi.com/article/11631130
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