終末医療はどうあるべきだろうか
1 管理人 2023-09-09 07:28
欧米では人口栄養を補給させて延命治療を行う国が少ないようです。
日本では延命治療の負担が問題になっていますが、終末期の医療はどうあるべきでしょうか。
日本では延命治療の負担が問題になっていますが、終末期の医療はどうあるべきでしょうか。
101 匿名モードによる書き込みです。 2023-11-02 20:21
質問者の言う「寝たきりの高齢者」を,人工栄養〔経管栄養(経鼻,胃瘻),静脈栄養〕で延命され,寝たきりになっている高齢者ととらえると,北欧だけでなく米・豪にもそのような人はほとんどいません。質問者はその根拠となる論文を求めていますが,残念ながら私どもが探した範囲では見つかりませんでした。寝たきりを意味する“bedridden”で文献を検索すると論文は見つかりますが,人工栄養で延命されている寝たきりの高齢者ではありません。そのため,本稿では欧・米・豪の高齢者介護施設・病院を見学した私どもの経験をもとに,回答したいと思います。
2007年に,スウェーデン(ストックホルム)の高齢者介護施設を見学しました。日本のように人工栄養で延命され,寝たきりになっている高齢者はいません。案内してくれた老年科医師は,「スウェーデンでも高齢者が食べられなくなると点滴や経管栄養を行っていましたが,ここ20年のうちに行わなくなりました。今は,点滴や経管栄養を行わず,自然な看取りをします。私の父もそうして亡くなりましたが,亡くなる数日前まで話すことができて,穏やかな最期でした」と話しました。点滴もしないことに驚くと,「ベッドの上で,点滴で生きている人生なんて,何の意味があるのですか」と,逆に質問されました(文献1)(文献2)。スウェーデンで終末期高齢者に濃厚医療を行わない最も大きな理由は,このようなQOLを重視した人生観が形成されているためだと思います。また,終末期高齢者に人工栄養を行うのは,非倫理的(老人虐待)という考えもあります。宗教との関係について同医師は,「昔は人工栄養をしていたことから,宗教は関係ないはずです」と言っていました。
2番目の理由は,高齢で食べられなくなった人に人工栄養を行うことは医学的に勧められていないためです。今から15年前のThe New England Jour-nal of Medicineのレビュー(文献3)に,進行した認知症患者には経管栄養を勧めないとあります。米国静脈経腸栄養学会や欧州臨床栄養代謝学会も,認知症の高齢者に胃瘻は適応されないとしています。日本で経管栄養を行い,寝たきりになっている高齢者の多くは認知症です(文献4)。
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3898
2007年に,スウェーデン(ストックホルム)の高齢者介護施設を見学しました。日本のように人工栄養で延命され,寝たきりになっている高齢者はいません。案内してくれた老年科医師は,「スウェーデンでも高齢者が食べられなくなると点滴や経管栄養を行っていましたが,ここ20年のうちに行わなくなりました。今は,点滴や経管栄養を行わず,自然な看取りをします。私の父もそうして亡くなりましたが,亡くなる数日前まで話すことができて,穏やかな最期でした」と話しました。点滴もしないことに驚くと,「ベッドの上で,点滴で生きている人生なんて,何の意味があるのですか」と,逆に質問されました(文献1)(文献2)。スウェーデンで終末期高齢者に濃厚医療を行わない最も大きな理由は,このようなQOLを重視した人生観が形成されているためだと思います。また,終末期高齢者に人工栄養を行うのは,非倫理的(老人虐待)という考えもあります。宗教との関係について同医師は,「昔は人工栄養をしていたことから,宗教は関係ないはずです」と言っていました。
2番目の理由は,高齢で食べられなくなった人に人工栄養を行うことは医学的に勧められていないためです。今から15年前のThe New England Jour-nal of Medicineのレビュー(文献3)に,進行した認知症患者には経管栄養を勧めないとあります。米国静脈経腸栄養学会や欧州臨床栄養代謝学会も,認知症の高齢者に胃瘻は適応されないとしています。日本で経管栄養を行い,寝たきりになっている高齢者の多くは認知症です(文献4)。
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3898