民主党政権の何が問題だったのか

民主党政権の何が問題だったのか


1 管理人 2023-11-12 21:34


岸田総理と枝野代表は、「総理としての実績はないが、政権のひとりだった経験はある」点で同じだ。
いやいや、岸田総理はまだ何もしていないかもしれないが、自民党はずっと政権を担い、うまくやってきたが、枝野代表が前にいた民主党政権はひどかったじゃないか、とても任せられない――そう思っている人も多いだろう。
しかし、本当に民主党政権はひどかったのだろうか。
民主党への批判と言えば、安倍晋三元首相が好む「悪夢の民主党政権」がある。
「何がどう悪夢だったんですか」と質問したら、安倍元首相は「すべてが悪夢だった」とでも答えるだろう。
この民主党への「悪夢」呼ばわりほど、中身のない批判はないが、それゆえにか拡散している。
安倍元首相の、イメージ戦略はなかなかのものだ。


しかし、たしかに安倍元首相にとっては民主党政権時代は悪夢だったろうが、国民のすべてが悪夢だと思っていたわけではない。
そこで、民主党政権を政策の実現という観点から見直した本が、『民主党政権 未完の日本改革』(ちくま新書)である。
著者は民主党政権三人の首相のなかのひとり、菅直人である。
どうせ自己弁護か自慢だらけの本だろうと思うだろう。たしかに、読む人の立場、読み方によってはそうなる。
だが、「解釈」はさまざまだが、民主党政権3年3ヵ月間で、何をやったという「事実」は事実として記されていると思う。実は私はこの本の編集に関わっているので、第三者ではない。関係者による紹介記事となるが、だからこそ、事実のみを記したいと思う。


民主党政権といえば、「マニフェスト」を思い出す人も多いだろう。
忘れている人も多いが、子ども手当、高校無償化、高速道路無料化などを約束した。
さらに、マニフェストには記載されていなかったが、鳩山代表が沖縄の米軍普天間基地を「最低でも県外」に移転させると約束した。最も期待はずれに終わったのが、この普天間基地の移設問題だ。
あるいは、マニフェストにはなかったのに、消費税の増税を決めたことも批判された。
民主党のマニフェストは抽象的な選挙公約ではなく、具体的な数値も列記し、達成されたかどうかが検証可能なものとして作られた。
次の総選挙のときには、どれくらい達成されたかを検証し、それでさらに政権を続けさせてほしいと、有権者に問うはずだった。
実際、民主党は2012年の総選挙の直前に、マニフェストを検証し発表しているのだが、それはほとんど話題にならなかった。
私のように民主党を支持していた人間でも、2012年の総選挙のときは、「あのマニフェストは、どれくらい達成されたのだろう」と調べることもしなかった。
なんとなく、マニフェストはほとんど実現できなかったと思ってしまった。
だが、75%は達成されていたのだ。
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101 管理人 2023-11-12 22:32

ネット上に、そのマニフェストの検証がまだ残っているので、参照されたい(https://www.dpj.or.jp/article/101657)。
見ていただければ、民主党のマニフェストはかなり細かかったことが分かる。そして、達成率も、意外と高い。
政策項目は全部で164あり、それを、「実現」「一部実施」「着手」「未着手」の4段階に評価している。その結果を分野ごとに示すと、

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となる。「外交」については相手があるし、長期的な課題が多いので、達成の評価からは除外されている。
残り147のうち「実現」は50なので、34%だが、「一部実現」の60も加えれば110で、74.8%となる。全体の4分の3は何らかの形で実現したのだ。
民主党政権は3年3ヵ月だった。マニフェストは「4年間で実現する」と約束したものなので、あと9ヵ月続けば、もっと、高くなったはずだ。
民主党政権のマニフェストは、もともと「暮し」に関するものが多く、子育て、教育、医療、年金の分野は項目数も多く達成率も高い。
子ども手当で生まれたときから中学卒業まで、高校無償化でさらに3年間をカバーし、社会全体で子育てと教育の経費を出そうという社会を目指した。
実現しなかったなかには、原発を推進するというようなものもあり、これは東電の原発事故を受けて政策転換したから、あえて、着手しなかった。
民主党政権の失敗は、「マニフェストを75%しか達成できなかった」ことではなく、「75%も達成したのに、それをPRできなかった」ことにある。


実現できなかったもの、規模を縮小したものもあるが、なぜそうなったか。
民主党がマニフェストで挙げた政策の多くは、実現するためには、新しい法律の制定や、既存の法律の改正が必要だ。予算も確保しなければならなかった。政策とは、そういうものなのだ。演説すればいいというものではない。
そして法律の制定・改正には、国会の両院での議決を必要とする。
しかし民主党は、2009年8月の衆議院の総選挙では圧勝したものの、参議院では過半数を取っていなかった。そのため社民党と国民新党との連立政権として、かろうじて過半数となっていた。だが、普天間基地の移転問題で社民党は連立から離脱した。
そして2010年夏の参議院選挙で、民主党は議席を減らしてしまい、「ねじれ国会」となった。法案を通すためには野党である自民党・公明党との妥協を強いられた。自民党・公明党が反対して廃案になったものもある。
参議院で過半数を取れなかったのは民主党に責任があるので自業自得だが、野党・自民党・公明党が「反対ばかりしていた」ので、法律が作れず実現しなかった政策も多いのだ。
民主党政権 未完の日本改革』では、マニフェストの全項目ではないが、かなりの項目を紹介してある。また、達成できなかった項目についても、普天間基地、八ッ場ダム、ガソリンの暫定税率廃止、高速道路無料化などについて、その理由について述べてある。
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2 管理人 2023-11-12 22:35

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http://katuragi-tk.jugem.jp/?eid=1624
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201 管理人 2023-11-12 22:36

民主党政権時の2009年から2012年の3年間の方が実質賃金が高かったのではないだろうか。
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